奨学金の返還期限猶予・減額返還の条件と申請手順|年収の目安・承認されない場合
奨学金の返還が難しいときは、JASSOの返還期限猶予(返還を先送り・通算10年まで)か減額返還(月額を2分の1〜4分の1などに減額・通算15年まで)を延滞前に願い出ます。年収の目安は猶予が給与収入300万円以下、減額返還が400万円以下です。承認されない場合は返還を続けます。

奨学金の返還が難しくなったときに日本学生支援機構(JASSO)へ願い出られるのは、返還を一定期間待ってもらう「返還期限猶予」と、月々の返還額を減らす「減額返還」です。どちらも延滞する前に、スカラネット・パーソナルまたは書面で願い出ます。
| 項目 | 返還期限猶予(一般猶予) | 減額返還 |
|---|---|---|
| 内容 | 承認された期間は返還が不要になり、返還終了年月が先送りされます | 返還月額を2分の1・3分の1・4分の1・3分の2に減額し、その分の返還期間を延長します |
| 収入・所得の目安 | 給与所得者は年間収入(税込)300万円以下、給与以外の所得を含む場合は年間所得200万円以下(経済困難の場合) | 給与所得者は年間収入400万円以下、給与以外の所得を含む場合は年間所得300万円以下(扶養する子が2人・3人以上の場合は100万円・200万円上乗せ、被扶養者1人につき38万円を控除) |
| 期間 | 1年ごとに願い出て、通算10年(120か月)が限度(災害・傷病・生活保護受給中などは10年の制限なし) | 1回の願出につき12か月、通算15年(180か月)が限度 |
| 主な条件 | 経済困難は無職・未就職・低収入の方が対象(令和7年12月以後に卒業・退学等した方は「新卒等」で申請) | 願出・審査の時点で延滞していないこと、口座振替(リレー口座)加入、月賦返還であること |
審査で承認されない場合は、返還を続ける必要があります。所得証明書の年収が基準を超えていても、減収・休職・失業(離職月から7か月以上経過)により今年分の推定年収が基準を下回る場合や、定められた「特別な支出」に該当する場合の申請方法が案内されています。猶予・減額返還のいずれも、返還すべき元金や利子が免除される制度ではありません。
出典:日本学生支援機構(JASSO)返還を待ってもらう(返還期限猶予)・経済困難(一般猶予の申請事由)・減額返還制度の概要・減額返還制度の収入・所得金額の目安(2026年10月30日確認)
奨学金の返還は長期間にわたるため、その間に失業や転職、病気、収入の減少など、返還が困難になる時期が訪れることは珍しくありません。その場合に延滞する前に検討すべきなのが、日本学生支援機構(JASSO)が設けている「返還期限猶予」と「減額返還」という二つの救済制度です。本記事では、それぞれの制度の考え方と、申請の基本的な流れ、申請時の注意点を解説します。制度の対象条件や必要書類の細部は変わることがあるため、実際に申請する際は必ずJASSO公式サイトで最新情報を確認してください。
返還が困難なときに利用できるJASSOの二つの制度
ここで取り上げるのは、返還が必要な貸与型奨学金に関する制度です。返還期限猶予と減額返還は、どちらも「返還の義務そのものは残るが、いまの負担を軽くする」ための仕組みで、災害・傷病・経済困難・失業といった事情がある人が申請できます。どちらも本人が願い出て、審査のうえで承認されて初めて適用されるという点が共通しています。以下でそれぞれの内容を説明します。
返還期限猶予の概要
返還期限猶予は、災害、傷病、経済困難、失業などの事情で返還が困難になった場合に、返還の期限を先送りにする制度です。承認された期間中は返還が一時的に止まり、その分だけ返還終了の時期が後ろにずれる形になります。返還すべき総額が免除されるわけではありませんが、返還が困難な時期を乗り切るための重要な選択肢です。適用には収入などの条件があり、承認される期間や通算の上限も定められています。詳細はJASSO公式サイトで確認してください。
減額返還の概要
減額返還は、毎月の返還額を減らし、その分返還期間を延ばす制度です。「まったく返せないわけではないが、いまの月額は重い」という人に向いています。返還を続けながら負担を軽くできるため、生活を維持しつつ延滞を防ぐことができます。減額できる割合の選択肢や適用の条件・期間は制度改正で見直されることがあるため、最新の内容はJASSO公式サイトでご確認ください。
制度の選び方の目安
二つの制度の使い分けは、大まかには「いま毎月いくらなら無理なく返せるか」で考えます。収入が途絶えている、あるいは生活費を削らないと返還できない状態であれば、返還を止める返還期限猶予が候補になります。一方、収入はあるものの現在の月額が家計を圧迫しているなら、減額返還で月々の負担を下げて返還を続ける方が、返還終了時期の遅れを小さくできます。
どちらの制度も、返還すべき元金がなくなるわけではない点は共通です。また、状況が変われば制度を切り替えることも考えられます。たとえば失業直後は返還期限猶予を利用し、再就職して収入が安定してきたら減額返還に移行し、最終的に通常の返還に戻す、といった段階的な使い方です。ご自身の状況でどの選択ができるかは、JASSOの相談窓口や公式サイトで確認してください。
申請の基本的な流れ
ステップ1:ご自身の状況と制度の条件を確認する
まず、JASSO公式サイトで返還期限猶予・減額返還それぞれの対象となる事由(経済困難、失業、傷病、災害など)と収入の基準を確認し、どの事由に該当するかを整理します。奨学金の種類(貸与型の第一種・第二種など)や返還方式によって取り扱いが異なる場合もあります。
あわせて、ご自身の返還状況(残額や毎月の返還額、これまでの返還履歴)も確認しておくと、その後の判断がしやすくなります。返還状況はJASSOのインターネットサービス「スカラネット・パーソナル」で確認できます。
ステップ2:必要書類を準備する
申請には、願出の書類に加えて、事由を証明する書類(収入に関する証明、離職を証明する書類、診断書など、事由に応じたもの)が必要になります。マイナンバーの提出により一部の証明書類が省略できる取り扱いが案内されている場合もあります。何が必要かは事由や申請方法によって変わるため、JASSO公式サイトの案内に沿って準備してください。
ステップ3:申請書類を提出する
申請は、JASSOのインターネットサービス「スカラネット・パーソナル」からの手続き、または郵送による書類提出で行うのが基本です。利用できる申請方法や提出先は制度・時期によって異なることがあるため、最新の案内に従ってください。提出後は審査が行われ、承認されると猶予や減額が適用されます。審査には時間がかかることがあるため、返還が困難になりそうだと分かった時点で、早めに手続きを始めることが大切です。
ステップ4:適用後の更新手続き
猶予や減額の適用には期間の区切りがあり、事情が続く場合は改めて願出が必要になるのが一般的です。適用期間の終わりが近づいたら、継続の手続きを忘れないよう、カレンダーなどに記録しておくことをおすすめします。
申請時の注意点
- 延滞する前に申請する——すでに延滞があると、そのままでは制度を利用できない場合があります。すでに延滞している場合の取り扱いも含め、まずJASSOに相談してください。放置して延滞が続くと、延滞金の発生や信用情報機関への登録、その後の督促・法的手続きにつながるおそれがあります。
- 自動的には適用されない——収入が減っても、申請しない限り猶予も減額も適用されません。返還が困難になった時点で本人が願い出る制度である点に注意が必要です。
- 書類の不備に注意する——証明書類の不足や記入漏れがあると、審査が進まず、その間に返還期日が来てしまうことがあります。提出前にチェックリストで確認することをおすすめします。
- 保証人にも影響し得る——人的保証を選んでいる場合、延滞が続くと連帯保証人・保証人に請求が及ぶことがあります。家族に影響を広げないためにも、早めの申請が大切です。
- 住所や連絡先の変更届を忘れない——引越しや転職でJASSOからの郵便物が届かなくなると、重要な通知や更新の案内を見逃し、意図せず延滞につながるおそれがあります。連絡先が変わった場合は、速やかに届け出てください。
猶予・減額でも難しいときの相談先
返還期限猶予や減額返還を使っても生活が立ち行かない場合や、奨学金以外にも借金があって返済全体が困難になっている場合は、より広い視点での相談が必要です。奨学金の制度そのものについてはJASSOの相談窓口、借金全体の整理(債務整理など法的な調整手段の検討)については法テラス(0570-078374)、生活全般については市区町村の窓口(生活困窮者自立支援の相談窓口など)が相談先です。貸金業者からの借入れがある場合は日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)も利用できます。複数の支払いが重なって困難なときの考え方は支払いの優先順位の記事も参考にしてください。
奨学金の返還は延滞する前の願出が最も重要です
奨学金の返還が困難なとき、JASSOには返還を一時的に止める「返還期限猶予」と、月々の負担を軽くして返還を続ける「減額返還」という二つの制度があります。どちらも申請して初めて適用されるものであり、延滞してから手続きをするより、返還が困難になりそうな段階で願い出るほうが選択肢は広がります。条件や必要書類、申請方法の細部は変わることがあるため、必ずJASSO公式サイトで最新情報を確認したうえで手続きを進めてください。奨学金だけでなく家計全体が行き詰まっている場合は、法テラスや市区町村の窓口など公的な相談先を早めに利用してください。延滞を放置しないこと、一人で抱え込まないことが、生活と将来を守る基本です。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は、公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報で確認し、確認日を記載しています
- 確認できなかった情報は「確認できず」と記載し、推測による断定は行いません
- 特定のサービスの利用を勧めることはせず、リスクと公的な相談先をあわせて掲載しています


